盆は旧暦7月15日を中心として先祖の霊魂を迎え供養し、まつる行事。霊祭り(たままつり)、精霊祭ともいう。
『仏説盂蘭盆経』に基づく盂蘭盆会(うらぼんえ)に淵源があるとされる。この経は釈迦の説いたものではなく中国で3〜4世紀頃に撰述されたもの。盂蘭盆とは「死者の霊魂」を指すイラン系ソグド人の「ウルバン」に由来するという説がある(新谷尚紀「盂蘭盆」『民俗小事典 死と葬送』)。『日本書紀』の推古天皇十四年(606年)に行なわれた記録があるというから実に古い習俗。15世紀に施餓鬼会の影響を受け亡霊供養の要素が強くなり、念仏踊り(盆踊り)も盛んになったという(宮田登+三隅治雄 『日本仏教史辞典』)。

民俗小事典 死と葬送

民俗小事典 死と葬送

新谷尚紀さんの言よし。「この盆の時季に日常的な生活の場から一時離れて「異界」との交流がはかられている点は重要である。毎年めぐってくる盆は、各自の年齢の推移とともに自分という存在とその日常性を相対化させ、人生の来し方・行く末を考えさせる絶好の機会として機能し続けている」
そうありたい。

種が実って