黒森神楽

kanjisin2006-08-27

正月になると黒森山の神霊を移した権現様(獅子頭)を携えて...家々の庭先で権現舞を舞って悪魔祓いや火防の祈祷を行なう。夜は民家の座敷に幕を張り、夜神楽を演じて五穀豊穣・大漁成就や天下泰平などの祈祷の舞によって人々を楽しませ祝福をもたらしている。(假谷雄一郎氏 展示図録より)

また、一ついい神楽を見つけた。
東北歴史博物館にて初めて黒森神楽(国重要無形民俗文化財)。「山伏神楽」に分類される(神田より子氏)

その移築された民家でくつろぐ岩手県宮古から来てくれた神楽衆。


神楽が民家からはじまるところがいい。

すこし現地に行った気分になれた。

巨大な博物館のコンクリート壁の一角にて まずは、権現舞

権現様(獅子)が舞う

 たくましき女神登場。赤襦袢や背負い帯、鳥兜などが女性を表しているのだそうだ。
 歌舞伎のような所作だが、もともと力をみなぎらせる山伏の所作なのか?

 神を御幣状に切ったものを指輪のようにはめる「手ちがい」。
 柔和な女神ミューズとは大違いだが、呪力あふれる守護神の女神に悪霊退散してもらえるのもいいかも。

 勇ましい女神は十二人の子持ちという説明。子孫繁栄の女神でもあるのか?

後姿のシーンも多い。解説者の「女性だから恥ずかしいという人も..」。山の神幣をさしている。

黒森山を行場とする修験集団により黒森神社(黒森権現社)を本拠地として伝承されてきたという。

最古の銘ある獅子頭は文明(1485)17年。形態からは南北朝期に遡るものがあるというからすごい。

今日はご一部とのこと。やっぱり現地に行って見たいものだ。
◎regerさんの内輪話
http://d.hatena.ne.jp/ruger/searchdiary?word=%cb%dc%c6%fc%a4%e2%b2%f7%c0%b2
◎踊る人ならではのmermarbleさんのするどい視点
http://marble.exblog.jp/
・黒森神楽http://www6.ocn.ne.jp/~kurokagu/
神田より子氏の詳説http://www.flet.keio.ac.jp/~shnomura/kuromori/index.html
・味のある記事http://www.iwate-np.co.jp/zoomup/kuromori/kuromori.htm

そういえば「熊野信仰と東北」展の関連行事。どんな関係?

     権現様(獅子頭)
獅子頭は東北地方では中世の山伏たちが「熊野の神の権現(あらわれ)」としてこれを奉じ、正月に牛玉宝印を配布する際に舞いを舞ったのが獅子舞なんだそうだ(小谷竜介氏説 展示図録)。黒森神楽の権現様も厄払い、新築の柱固め、船おろし、墓獅子。神楽念仏と民衆のゆりかごから供養までめんどうをみてくれるありがたい神のようだ(神田より子氏などの解説)。
鎌倉期に確立した山の「超能力集団」修験は、中世後期に里の民衆に降りてきたのか?
・黒森神社(左上ボタンで縮尺 右上橙家ボタンで航空写真になり、海近くの黒森山を天空から眺望できます!)