与兵衛沼窯跡発掘調査現地説明会 


 (斜面に築かれた1100年前の窯跡群 ※小高くなり、土が赤く見えているのが2基の平窯跡)
仙台市の北側丘陵には多賀城陸奥国分寺・尼寺の瓦等を焼いた東北地方最大の古代窯(かま)跡である台原・小田原窯跡群が東西5kmにわたり拡がる。
とはいっても現在、その面影はほとんどなく、西端にある江戸時代以来の堤焼きがそのなごりともいえる。
ところが、その窯跡群の一角である与兵衛沼(よへいぬま)北西端(青葉区小松島新堤)の与兵衛沼窯跡都市計画道路建設に伴う事前の調査で8世紀末から9世紀(奈良時代末から平安時代)の瓦窯跡(平窯2.あな窯7)が発掘されたのである。1100年前の官窯群が現代にその姿を現した光景に感動した。
※現段階では平窯跡は貞観11年(869年)、陸奥国地震の際、復興のための瓦を焼いた窯の可能性があるとのこと。


 (ロストル式平窯)
驚いたのは半地下式平窯が、たき口・燃焼部そして瓦を置く焼成室とロストルと呼ばれる通風用の施設の残りがとても良いこと。長さは4m前後、最大幅約2m。この種の平窯は与兵衛沼対岸の神明社窯跡に続き二例目。東北地方でも窯の構造がわかる状態で発見されたのは極めて貴重のようだ。
神明社窯跡(仙台市の遺跡HP)
 http://www.city.sendai.jp/kyouiku/bunkazai/iseki/c0000000034.html

 (真っ赤に焼けた窯の隔壁の通焔孔や壁。壁は瓦と粘土で積み上げられている。)
大阪や京都辺ではロストル式平窯が相当数発掘され、国史跡になっているところも多い。灰や不良品を捨てた灰原や周辺の排水溝等から鬼瓦や建物の棟先端を葺く特殊な瓦が出土している。
◎代表的な平窯跡
大山崎瓦窯跡(京都府大山崎町HPより)
 大山崎瓦窯跡
・吉志部瓦窯跡(大阪府吹田市立博物館HPより)
 埋蔵文化財/吉志部瓦窯跡(国指定史跡)
・水城跡1号窯(8世紀中頃の水城修理に伴う窯 大宰府市ふれあい館HP「遺跡だより44」より)
 水城跡1号窯

 
こちらの半地下式の窖窯(あながま)も残り具合が良い。焼成室には丸瓦を階段状に並べて、焼成する瓦の台にしている。また壁は平瓦で抑えているようだ。この7基のあな窯からは大量の瓦が出土しているようだ。
※内容は基本的に下記「与兵衛沼窯跡発掘調査現地説明会資料」(仙台市教委文化財課)による。
http://www.city.sendai.jp/kyouiku/bunkazai/yoheenuma/
仙台市の遺跡HPよりhttp://www.city.sendai.jp/kyouiku/bunkazai/iseki/c0000000128.html