「城下町村上 市民による町づくり」

吉川真嗣(きつかわしんじ)さんが家業(鮭の加工・販売「味匠喜っ川」)を継いで、村上市の「近代化」機運の中で、昔ながらの町屋の「本物」の価値に目覚め、城・町屋・伝統家屋・寺町の四拍子そろった「城下町村上」の歴史的空間を活かして、一人で始めた町づくりの話。
吉川さん(村上町屋商人会会長)は遠来の客に店の奥の部屋を見せて、客が感動したことに「歴史価値」のすごさを実感。近代化反対の署名活動で総スカンの失敗を踏まえて、少数の市民のみの同士で実現した最初の企画「人形さま巡り」で町屋の中を公開し、三つの素晴らしさに驚かれたという。①町屋の中②どうして他人である旅行者にここまで見せてくれるのか③人形─特に土地の人と触れ合うことの素晴らしさを評価された。費用がポスター+雑費の35万円というのは驚き。この成功により応援が続々集まったという。「今まで家の奥にこもっていたお年寄りが人形の説明役に出てこられ、元気になった」というのはまさしく本来の目的をも指し示していよう。江戸〜昭和の酒蔵のあった「天賞」が、消えてしまった仙台とは大きな違いに恥ずかしくなってしまった。

(行きたくなった村上の「人形さま巡り」 購入した『町屋の人形さま』表紙)
官に頼らない(最初は官も応援してくれない)吉川さんは次に1億円もかかる町屋の外観再生プロジェクトを会費1000円で年間一千万円を集め、10年計画という斬新な方法でとりかかり着実な成果を挙げている。
・むらかみ町屋外観再生プロジェクトhttp://www.mmsp.info/
吉川さんによる「催し成功の鉄則」①非日常②テーマ性③定期性④無料(→飲食・お土産効果) そしてこれらのアイデアが生まれた土壌は氏が訪ね歩いた全国200箇所ものまちづくりに取り組む人たちとの対話であったという。
・吉川真嗣さんについて(国土交通省)
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/kanko/mr_kikkawa.html
・「村上のまちづくり」(吉川真嗣さんのHP)
http://www.k-shinji.info/
・奥さんの美貴さんが書いた真嗣さんの軌跡

「持続する熱意(信念)と実行」により進化し続ける吉川真嗣さんに学ぶところ大であった。
・鮭の逸品「きっかわ」(※「き」の字は本当は七が三つ)
 http://murakamisake.com/annai/company.html
・美貴夫人の詳述「記憶に残る町 忘れえぬ人々」(『かがり火』リゾート通信社HPより)
 http://www.kagaribi.co.jp/wasureenu.html#Anchor-40783
横手市増田でも蔵の公開がはじまった!
 http://jyoho.kahoku.co.jp/member/backnum/news/2006/11/20061114t45006.htm
・「蔵の町 増田」秋田散歩より
 http://kimura.cside.com/akita/yokote-yuzawa/masuda.html
 「週刊新潮」より
 http://www.excite.co.jp/News/magazine/MAG5/20070208/1/