2011年マイベスト


『つなみ 被災地のこども80人の作文集』

文藝春秋増刊「つなみ 被災地のこども80人の作文集」 2011年 8月号
本屋さんで立ち読みして、“泣けてくる”と買った剛の者に勧められて、わたしも泣けてきた本。

三陸海岸大津波 (文春文庫)

三陸海岸大津波 (文春文庫)

こちらは、ベストセラーだが、前書に繋がることが書いてあった。
昭和八年の大津波のこと。田老町(当時は村)の田老尋常高等小学校の生徒の作文が心打つ。
「下へおりていって、死んだ人を見ましたら、私のお友だちでした。
私は、その死んだ人に手をかけて、
「みきさん」
と声をかけますと、口から、あわが出てきました。(尋三 大沢ウメ)」
吉村昭氏は書く。「この地方では、死人に親しい者が声をかけると口から泡を出すという言い伝えがある。(中略)幼い少女の死体をかこんでいた人たちは、「親しい者が声をかけたからだ」と涙を流したという。」と。
作文は、「田老尋常高等小学校校長木村清四郎をはじめ教員たちの指導でまとめられた貴重な記録で、同校生徒164名、2名の教員に対する鎮魂文でもある。」


「つなみ」の子どもたち
『つなみ 被災地のこども80人の作文集』のこどもたちは、その後、どうなったのであろうか。これに応える続編が刊行されていることを知り購入。
こども+おとなの話を森健氏が精力的に取材し、「総体」が判明する。
重い内容。

文藝春秋増刊 吉村昭が伝えたかったこと 2011年 09月号 [雑誌]

文藝春秋増刊 吉村昭が伝えたかったこと 2011年 09月号 [雑誌]

田老町の「防潮堤が水門を残して木端微塵に粉砕されたのは、真正面で津波を受け止めてしまったからだ。」(高山文彦「『三陸海岸津波』を歩く」)
岩手県宮古市田老の津波「万里の長城は残ったが...」(日本経済新聞)
津浪と村

津浪と村

震災後に復刊された名著。巻末の川島秀一氏の「山口弥一郎の三陸津波研究」に氏が著者に会津若松市の自宅でお会いして、この書についてお伺いしたところ、
山口弥一郎は「「集落移動した家が一戸でも浜に降りたら、もうそれでおしまいなんです」と九十三歳とは思えないほどの力を込めて語られた。」という文が重い。
福島原発の闇 原発下請け労働者の現実

福島原発の闇 原発下請け労働者の現実

どうしても大津波の方に関心がいき、福島原発事故の方の勉強はほとんどしていなかった。そんな中、尊敬する「日本美学の編集者」である松岡正剛氏が「千夜千冊 番外編」として、原発に関わる本についても精力的に書いており、1979年のアサヒグラフ掲載の水木しげるさんの絵と堀江邦夫氏の『福島原発の闇』には、驚いたし、悲しくなった。帯に「すべては32年前に起きていた」とある。
「その「アサヒグラフ」の記事は、「1979年4月、一人の青年が死んだ」という衝撃的な一行から始まっていた。32歳のNが福島第一原発の正門近くの雑木林で首を吊って死んだのだ。生前は東芝プラントの孫請け業者の社員だった。福島にくる前は浜岡原発で働いていた。遺書には、こうあった。「目が悪い。頭が悪い。とにかくおれは精神的に疲れた。人生の道にもついていけない。寂しい。希望もない」。そして次の一言でおわっていた、「原発の仕事も考えもんだ」。」(「千夜千冊 番外編」『福島原発の闇』より)
1446夜『福島原発の闇』堀江邦夫・水木しげる|松岡正剛の千夜千冊
そして、セイゴオ先生からの(と思い込んでいる)宿題は、2012年に残してしまった。
「フクシマ」論 原子力ムラはなぜ生まれたのか

「フクシマ」論 原子力ムラはなぜ生まれたのか

1447夜『「フクシマ」論』開沼博|松岡正剛の千夜千冊
原子力ムラという鏡に映し出される戦後日本の成長神話と服従のメカニズム。
本書の刊行はひとつの奇跡だ。―― 姜尚中」(アマゾンHPより)


木蘭の涙

木蘭の涙

晦日三陸からの帰り道、車で走っているとき、ラジオマンジャックというNHKにしては、ふざけたラジオ番組がえんえんとあって、疲れた身体の眠気覚ましに役立ったが、その中で、ふいにかけられたスターダストレビューの「木蘭の涙」(もくれんのなみだ)という曲に、心を打たれた。以前にも聞いたことがあるのだが、格別の思いをしたのは、私だけでないようでした。
木蘭の涙 歌詞

終わりに
被災地からの貴重な報告

博物館から見た被災地
行くことはできなかったが、国立歴史民俗博物館HPを見て、報告内容がリアルで、被災地の実情と博物館職員の懸命さが伝わってくる。
歴史文化遺産は‘復興’のアイデンティティと改めて思わざるを得ない各報告。

(以下、国立歴史民俗博物館HPより)
特別集会「被災地の博物館に聞く」

「日時 2011年7月30日(土) 13:00〜18:00
場所 国立歴史民俗博物館 講堂
主催 国立歴史民俗博物館・財団法人歴史民俗博物館振興会
現地からの報告
1 岩手県立博物館 赤沼 英男 氏(保存科学)
岩手県立博物館における文化財レスキューの現状と課題 −岩手県陸前高田市救 出資料を中心に−」
2 陸前高田市立海と貝のミュージアム陸前高田市立博物館 熊谷賢氏(考古学) 陸前高田市立博物館「陸前高田市の被害状況−博物館施設を中心に−」
  砂田 比左男 氏(昆虫学)
3 多賀城市教育委員会 高倉 敏明 氏(考古学)
東北地方太平洋沖地震による文化財被害と救援活動」
4 仙台市博物館 仙台市史編さん室 菅野 正道 氏(歴史学
「歴史資料の保全に向けて」
5 東北学院大学博物館 加藤 幸治 氏(民俗学
文化財レスキュー活動−東北学院大学博物館の取組みから−」
6 福島県文化振興事業団 福島県歴史資料館 本間 宏 氏(考古学)
東日本大震災と歴史資料保護活動−福島県の現状と課題−」」

↓発表内容を詳細に知ることができます(歴博の広報方針を高く評価します)
お知らせ 特別集会「被災地の博物館に聞く」
+鈴木まほろさんのブログ
仕事だけじゃない日誌


                 合掌
仙台市若林区荒浜「東日本大震災慰霊之塔」2011.12.30)

涙の流れるままに A HEALING COLLECTION 

涙の流れるままに A HEALING COLLECTION 

忘れてはいけない2011.3.11参考リンク

FRIDAY (フライデー) 完全保存版 東日本大震災全記録 2012年 1/3号 [雑誌]

東日本大震災の記録(暫定版 宮城県土木部)
                      ※容量が重いです。
岩手県の記録
福島県の記録 福島県警
福島第1原発3号機爆発直後の衛星写真をDigitalGlobe社がネット上で公開、ダメージの度合いが確認可能に - GIGAZINE