秋晴れの「氷河期の森」


 秋晴れに誘われて

 豹紋蝶が

 反魂草を吸い

 秋の麒麟草が咲き始める

 小紫も

 真弓もすっかり色っぽく

 高嶺七竈も鮮やかに

 鯉が紅き穂をふくみ

 ともと連れ添う

 赤トンボが

 風にあおられ、熟した檜扇菖蒲にしがみつき

 日の光に目高が浮かぶ

 木陰に梅鉢草が息をつき

 蝦夷竜胆がこもれ陽にそよぐ

 朝鮮五葉に大きな松ぼっくり

ぐい松に小さな松ぽっくり

 「氷河期の森」の秋