「開戦の日」によせて─水木しげるの「戦争体験」─

開戦の日。65年前の今日、日本軍の真珠湾攻撃により太平洋戦争が始まった。小生の知識は極めて乏しい。
ただ「人を殺すと殺人として死刑などの刑が科されるが、戦争(国の命令)で沢山人を殺すと英雄になる」というのは戦争の本質を突いていると思う。
ゲゲゲの鬼太郎」など妖怪もので親しんだ水木しげる(84歳 1922年〜)の『コミック昭和史』は「庶民にとって戦争とはなんであったか」をみごとに、面白く描いてお奨め。第4巻の『太平洋戦争前半』のニューブリテン島での一兵卒の「のんびり生活」はその最後に、生死の境を迷いことになり、第5巻ではマラリアにかかり、爆撃で左腕を失い、「九死に一生」を得て帰還する。時代に翻弄される一庶民が生き抜けたのは、運もさることながら、抜群の体力・楽観主義であり、その画才が、生き抜く術とともに氏をして時代の「語り部」としている。現地民との心温まる交流の様子は『水木しげるラバウル戦記』がお勧め。(『コミック昭和史』は『総員玉砕せよ!』から随所に抜いているが、後者はフィクションをまじえた作品)

コミック昭和史(4)太平洋戦争前半 (講談社文庫)

コミック昭和史(4)太平洋戦争前半 (講談社文庫)

 
水木しげるのラバウル戦記

水木しげるのラバウル戦記

・太平洋戦争地図(名学HOME)http://www.meigaku.ac.jp/kokusai/png/23.html
◎「水木しげるの妖怪人生」より幸せの七か条・戦争
 http://info.linkclub.or.jp/nl/2005_08/art.html
水木しげる記念館http://www.sakaiminato.net/mizuki/
半藤一利氏の『昭和史─1926-1945』では310万人もの死者をだした太平洋戦争の教訓について①国民的熱狂をつくってはいけない。②抽象的観念論ではなく具体的理性的方法論を。③小集団主義の弊害。④国際社会での日本の位置づけの欠如。⑤日本人の対症療法的、短兵急な発想。を挙げ、昭和の日本をリードしてきた人々の「根拠なき自己過信」を指摘し、今日の日本人にも同じことが見られると警告している。
昭和史 1926-1945

昭和史 1926-1945