大晦日記

泥の中から
蓮が咲く。
それをするのは
蓮じゃない。

卵の中から
鶏が出る。
それをするのは
鶏じゃない。

それに私は
氣がついた。
それも私の
せいぢゃない。

               (金子みすゞ「蓮と鶏」『漢文力』より)

今年は、井上雄彦さんの最後のマンガ展が杜の都にマッチして印象深かった。



そして、なによりも、思い出すのは、沖縄慰霊の日の空2010.6.23

亡き井上ひさしさん、立松和平さん、榊莫山さん、若乃花さん、星野哲朗さん、つかこうへいさん、森毅さん・・有難うございました(NHK耳をすませば2010」より)。
普段あまり見れないテレビを二日間見続けました。結果的にNHKの番組がほとんどでしたが、併せて想うと、まるで人生の縮図のようでした。

                   懐かしき「ひょっこりひょうたん島
“人間にたいする信頼ですかね その信頼の方を書きたいんですね”(井上ひさし
wiki:
ひょっこりひょうたん島 - Wikipedia

“植えた人の心の中に植えた木が、多分、これ以上に育っているんです”(立松和平談 NHK耳をすませば2010」)

たしか、これは、はやぶさ が帰還したころの夕空でした。


◎今年聴いた曲ベスト
・霊慕(中村明一)

虚無僧尺八の世界 東北の尺八 霊慕

虚無僧尺八の世界 東北の尺八 霊慕

今はやりを聞き続けて、たどりついた驚くべき尺八の世界
あの神楽の旋律が循環呼吸で甦ったような。
・千夜千冊(松岡正剛
 http://www.honza.jp/senya/1395
●今年読んだ本ベスト
 ・『地霊の復権─自然と結ぶ民俗をさぐる』(野本寛一)
地霊の復権――自然と結ぶ民俗をさぐる

地霊の復権――自然と結ぶ民俗をさぐる

出たばかりの本でまだ、読みかけなのですが
「自然への感応や大地に向かう根ざし、その細根まで断ち切ってしまうような固定化・閉塞化の流れに対して、アニミズム的世界への感性が、それらを聞き、爽やかな空気や土の匂いを呼び込み、人を蘇生させる緒になることに注目したい。・・(百年紀にあたり)『遠野物語』的世界から継承すべきものを見つめたい」とする視点は現代人にとって重要な指摘と思う。
・『漢文力』(加藤徹
漢文力 (中公文庫)

漢文力 (中公文庫)

縁遠くなった漢文の世界を突き抜けると、金子みすゞに行きつくとは!
別冊太陽122 金子みすゞ (別冊太陽―日本のこころ)

別冊太陽122 金子みすゞ (別冊太陽―日本のこころ)

蜂はお花の中に
お花はお庭の中に
お庭は土塀の中
土塀は町の中に
町は日本の中に
日本は世界の中に
世界は神さまの中に

さうして、さうして、神様は、
小ちやな鉢のなかに、
             (金子みすゞ「蜂と神さま」『漢文力』より)

では、皆様、よい新年をお迎えください