『仙台平野の歴史津波』(1995年 飯沼勇義 宝文堂)に寄せて

津波は史実から予測され、しかも行政に対策が陳情されていた。

「はじめに」には「ましてや、過去に、仙台平野の仙台沿岸から福島県いわき地方に至る太平洋岸には、巨大津波襲来の歴史があったことをしるべきでしょう。」とある。飯沼氏は仙台市長と宮城県知事に防災対策の陳情書を提出した・・
「おわりに」には「国の行政に携わる指導者の指導力が、こうした史実に対する理解と認識を促し、これから起こり得ると思われる巨大津波..に対するさまざまな防災についてのさまざまな対策が、ハードとソフト両面において広域な仙台地方にに実現されるよう要請されるのではないでしょうか。」(1995年)

宮城県名取市閖上0506)
河北新報110205「飯沼勇義さん 「巨大津波が仙台平野を襲う!」16年前、郷土史家が本で警告」
「仙台に巨大津波が押し寄せる恐れがある」と16年前に警告を発していた郷土史家がいる。津波の歴史を研究し、対策の充実を訴えていた仙台市宮城野区の飯沼勇義さん(80)。東日本大震災の大津波を目の当たりにし、「行政も住民も危機管理が不十分だった」と悔やんでいる。 」
津波 歴史研究から警告/「仙台平野は常襲地帯 英知集め対策を」/仙台の元教員/飯沼 勇義さん - しんぶん赤旗
                (閖上0506)

(大津波に襲われる仙台市名取川河口付近 ユーチューブより)
「私は仙台平野の東部太平洋岸の或る集落から、福島県いわき地方の沿岸集落の住民意識の実態を調べました。何れも津波襲来はあり得ないから私たちの集落は安全だと言う」
地域の伝承は絶え、行政も一民間研究者の訴えを取り上げることはなかった。歴史や地震の研究者の常識であっても、行政が本気になり、地域に浸透しなければ役に立たないということが2万5千人近い死者・行方不明者を出した東日本大震災・大津波原発事故の教訓であった。

閖上0506)
●慶長津波貞観津波の浸水域
「仙台平野の堆積物に記録された歴史時代の巨大津波─1611年慶長津波と869年貞観津波」(澤井祐紀ほか「地質ニュース」2006年)
http://unit.aist.go.jp/actfault-eq/Tohoku/06_08_03.pdf
●平安の人々が見た巨大津波を再現する─西暦869年貞観津波─(宍倉正展ほか2010年)
このような報告が2010年に出されていた事に驚きました。
http://unit.aist.go.jp/actfault-eq/katsudo/aferc_news/no.16.pdf
・もう少し早く行政が動いてくれたならと、飯沼翁に同感。
「巨大津波を予測していた男−活断層地震研究センターの宍倉博士
2011年 4月 11日 9:21 JST .」(ウォールストリートジャーナルHP)
http://jp.wsj.com/Japan/node_219865
宍倉正展氏の震災に関するコメント
サイエンス・ポータルHP─ 宍倉 正展 氏(産業技術総合研究所 活断層地震研究センター 海溝型地震履歴研究チーム長)
http://scienceportal.jp/HotTopics/opinion/180.html
・被災資料救出保全プロジェクトの記録(神奈川大学日本常民文化研究所)
http://d.hatena.ne.jp/jouminbunka-1/

(左 閖上中学校)


【『仙台平野の歴史津波』で取り上げられた興味深い伝承】
名取市 清水峯神社と津波・疫病
 ・みやぎの歴史物語HP
http://blogs.dion.ne.jp/natorigoro/archives/10073606.html
・名取の小佐治とは違う多賀城の小佐治・猩猩津波の物語
 ・小佐治物語─「はてノ塩竈」さんのブログから
http://blogs.yahoo.co.jp/mas_k2513/27528452.html
・本書の「慶長津波」に関しては「成実三昧」さんのHPが丁寧に整理されてい ますので紹介させていただきます。
 ・http://shigezane.fc2web.com/majime/sanriku-jishin.html



名取川べり 閖上太子堂から仙台市街を望む0506)
津波の塩害と貞観地震の復旧─保立道久の研究雑記HPより
貞観地震の復旧には蝦夷の人々が活躍したのではないかという興味深い記事。そして..
http://hotatelog.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/28-26e8.html


(ZANGIEFCHAMP さんが 2011/04/12 にアップロード)
「私の母の実家は南三陸町にあります。しかし今回の津波で母の実家­そして母の家系は全て亡くなりました。今回の震災は天災であるが­ゆえ無力感と怒りがこみ上げてきますが、それ以上に私が感じる事­はこの状態になっても政治家の方々は未だに国会にて無意味な行動­を取っている事です。現地に来てちゃんと見て下さい。どれだけ壮­絶かつ悲惨な光景かを。」(guraguramanさんのコメント)
【宮城の浜では..】
◎「名取市閖上(ゆりあげ)復興支援ブログ」さん
http://blog.livedoor.jp/coolsportsphoto/
ここから
http://blog.livedoor.jp/coolsportsphoto/archives/51682714.html
 ・ 名取@避難所のブログ(3月25日)
http://ameblo.jp/natori-shinsai/entry-10841112823.html


          回向 (asapuroabeさん提供)


このたびの東日本大震災でお亡くなりになった方々を深く悼みます。合掌

津波の教訓(山村武彦氏のHPによる)
http://www.bo-sai.co.jp/tunami.htm
◎これからのために宍倉正展氏紹介の東日本大震災に関わる科学的速報
産総研ホーム > 活断層地震研究センターホーム
http://unit.aist.go.jp/actfault-eq/Tohoku/index.html

(「9世紀後半頃の大規模な水害の痕跡を確認」を報じた市川橋遺跡略報4)
◎考古学からの「貞観地震
柳澤和明「貞観地震津波からの陸奧国府多賀城の復興」」(NPOゲート シティ多賀城HP)
「1.はじめに
2.陸奧国府多賀城とは
3.貞観地震津波による国府多賀城の被害
4.地形・地震津波研究者による近年の貞観津波研究
5.貞観津波による国府多賀城の浸水域の推定
(1)砂押川における2011年3月11日の津波遡上
(2)貞観地震当時の仙台平野北部の地形
(3)国府多賀城における貞観津波の浸水域推定
6.貞観地震からの陸奧国の復興
(1)文献史料(『日本三代実録』)からみた陸奧国の復興
(2)発掘調査成果からみた陸奧国の復興
 1)陸奧国府多賀城の復興
 2)多賀城廃寺の復興
 3)陸奧国分寺国分尼寺の復興
7.おわりに」
・本文
http://gatetagajyo.web.fc2.com/jyougan_tunami.html
(110531)

地震の日本史―大地は何を語るのか (中公新書)

地震の日本史―大地は何を語るのか (中公新書)

地震考古学(寒川旭)
http://jishin-info.jp/column-08/column-08a.shtml
地震考古学から21世紀の大型地震を考える(寒川旭)
http://wwwsoc.nii.ac.jp/fgi/library/53_sangawa.pdf



◎お勧め本─ヴィクトール・E・フランクル『夜と霧』
夜と霧 新版
「それはなにも強制収容所に限らない。
人間はどこにいても運命と対峙させられ、
ただもう苦しいという状況から精神的に何かをなしとげるかどうか、
という決断をせまられるのだ。」
...そうなんだ。

【耳寄り情報】
ふんばろう東日本支援プロジェクト
あの西條剛央(たけお)さんが始めた被災者要望対応物資支援プロジェクト
http://fumbaro.org/

現代思想のレボリューション(構造構成主義研究 1)

現代思想のレボリューション(構造構成主義研究 1)

“大事なことは困っている人を早く助けること。
駆け寄って問題から発見し解決する能動的支援が必要”との西條さんの実践のあり方(河北新報110527)を、またも政争にあけくれる世界に届けたい。
◎西條さんのブログ
津波主被災地の惨状はテレビで報道されているものより遥かに悲惨です。僕の行方不明だった伯父さんも1ヶ月後発見されました。東京では哀しみは過ぎ去ったかのように思われていますが、現地ではどこかにいる愛する人を何万人、何十万人ものひとがいまだ探して歩いています。
 物は大きな避難所には山積みにされていますが、小さな避難所や個人避難宅には届いていません。また生活の質をあげる物資に至ってはまったく足りていない状況です。避難所のストレスはピークに達しており精神的なケアも不可欠です。」
http://plaza.rakuten.co.jp/saijotakeo0725/
津波被災地の支援について 西條剛央&岩上安身対談(動画※長時間)
http://www.ustream.tv/recorded/13788982


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