読んでいる本─『官邸から見た原発事故の真実 これから始まる真の危機』(田坂広志)


官邸から見た原発事故の真実 これから始まる真の危機 (光文社新書)
菅政権時、内閣官房参与だった田坂広志さん(原子力工学の専門家)は、こう書いています。
・あの夜に思ったこと「原子力エネルギーとは、ひとたび暴れ始めたとき、これほどまでに手がつけられない危険なものであったのか・・」
・今、思うこと「ただ、やはり、我々は運がよかった。」
・そして「現実は、それほど易しい状況ではない。 なぜなら、「真の危機」は、これから始まるからです。」と。
福島原発から避難して、やっと落ち着いた家が汚染されたコンクリート..というのもその一端なのではないでしょうか。
パンドラの箱が開き...最後に残った「希望」
「その前に、我々がやるべきことがある。
過去への深い反省
そのことを行ったとき、そこに「希望」が生まれてくるのでしょう。」
同感です...

田坂広志 - Wikipedia
ソフィアバンク
【同書から】
放射能は「煮ても焼いてもなくならない」浄化装置で除去すると「高濃度放射性廃棄物」を発生させる。
■ 第二部 政府が答えるべき「国民の七つの疑問」 ■
●第1の疑問 原子力発電所の安全性への疑問●
●第2の疑問 使用済み燃料の長期保管への疑問●
●第3の疑問 放射性廃棄物の最終処分への疑問●
●第4の疑問 核燃料サイクルの実現性への疑問●
●第5の疑問 環境中放射能の長期的影響への疑問●
●第6の疑問 社会心理的な影響への疑問●
●第7の疑問 原子力発電のコストへの疑問●
脱原発ビジョン
「計画的・段階的に脱原発ビジョンを進め、将来的には原発に依存しない社会を目指す」
 その可否以前に「原発に依存できない社会」が到来する現実が到来する

     戯曲『ガリレイの生涯』でブレヒトガリレイに語らせた
 “英雄を必要とする国が不幸なのだ”

・汚染石材
asahi.com(朝日新聞社):汚染石材問題、17社対象に流通経路調査 経産省方針 - 東日本大震災

・さらにご興味のある方に(本書の元になった日本記者クラブ講演※1時間)
福島原発事故が開けた『パンドラの箱─野田政権が答えるべき『国民の七つの疑問』

田坂さんの論は冷静な体系だった論のように思える。ただ大事なことに触れていない点も気になる。それは加藤典洋氏の『3.11死に神に突き飛ばされる』の中で指摘された。すなわち日本が核燃料サイクルを推進してきたのは、、核兵器をいつでも作れるようにプルトニウムを得られるようにするという国策にあったという指摘である。

3.11――死に神に突き飛ばされる

3.11――死に神に突き飛ばされる

典洋氏らしいのは、同書でゴジラがアトムに答えるところ
「現実はことごとく君のいう「被爆した人たちの願い、祈り」を裏切っているではないか。・・・
みんなこの平和利用が、君のいう理想のかたちからほど遠く、
アメリカへの技術的な隷属ね従属体制と
核兵器製造の潜在的能力の保持という基本方針を
国民の目から隠そうとしてやってきたことを、そのあり方で証明している。」
さようなら、ゴジラたち――戦後から遠く離れて

さようなら、ゴジラたち――戦後から遠く離れて

3.11死神.と青葉と天使 - JIEN記