洞ノ口遺跡の血盆経

洞ノ口遺跡では15世紀(室町時代)の領主クラスの館跡の一画の溝跡から杮経(こけらきょう 木の札に経文を書いたもの 頭部三角形 2×19cmくらい、厚さ1mm前後)が溝中から大量に出土した。その中の多くが「仏説大蔵正経血盆経」と書かれたものを含む血盆経であった。「女人」は「産下血」により「地神」を「穢」すなとどという墨書がみられる。溝(囲んでいた可能性が高い)などから火葬骨片が散見され、その内部に小さなお堂が建っていたことから、館の一画の死者供養の場と考えられる。注目すべきことに少数ながら「転女身成仏功徳経」(身を男子に変成して成仏するという経)という盛行時代が鎌倉時代に遡る、出土例が希少な経も発見されている。草津白根山湯釜出土杮経を中心に考察した時枝務氏は中世における血盆経は天台系修験者による投入儀礼が基本的な形であるとする。洞ノ口遺跡の例は室町時代の館での死者供養の様子を反映していると考えられ、地域の上層女性と仏教儀礼の様相を知る上で重要な例と思う。
http://www.city.sendai.jp/kyouiku/bunkazai/iseki/c0000000078.html

修験道の考古学的研究

修験道の考古学的研究

http://www.city.sendai.jp/kyouiku/chiteinomori/event/exhibi0604/news3.html