1繭から1200mの糸

まるでグリコのキャラメルのような「いかぐ糸」
まず、かいこの繭から生糸(繊維を合わせた絹糸で、まだ練らない絹糸)をとるところを初めて見ることができた(滋賀県木之本町(きのもとちょう)邦楽器原糸製造保存会)。

三味線などの弦の原糸を作る。80度!の湯に繭玉を入れ、わらの小ぼうきで「糸口をさがして」ひっかけ、糸先を糸緒(いとくち)器に通して引き出していく。引き出した糸の束から一本づつ糸を取り、束ねて枠に巻き取る作業を実演。(右の写真の糸は画像処理して表現) なお、パンフにある「いかぐ糸」という詞はネットにはでてこない。

   (糸口をつかむ!)

   (繭の糸先を糸緒(いとくち)器にひっかける)
今回は見てもらうために、ゆっくり行なっているとのこと。この方のお話では技術習得に10年かかるという。 実作者と会話をしながら、糸に触りながら理解が深まる

(お客さんと会話がはずみ、笑顔も)
背後には二つの小枠に同時に巻き取ることができる「後達磨」(うしろだるま)と呼ばれる座繰(ざぐり)器が見える。
琴・琵琶等弦用の糸(カラクリ人形の繰り糸・能衣装の織物にも)には高い強度が必要なので絹糸の表面のセリシン(蛋白質)の残留が必要で、このような座繰という製法が適している。

左 完成した原糸 右 残った繭の残りは綿の材料、カイコのサナギは魚の餌へとのこと。
・真綿の作り方(保原町商工会HP)http://www.f.do-fukushima.or.jp/hobara/okaiko/okaiko02.htm
平安時代以前からの生糸作りを受け継ぎ、琵琶湖の北端にある伊香郡木之本町伊香具地区の大音(おおと)と西山の集落で生産(パンフより)。
・大音の保存会の様子(蚕糸・昆虫農業技術研究所SILK NEW WAVE HPより)
 http://www.nises.affrc.go.jp/pub/silkwave/silkmuseum/SAItohime/ooto.htm
 
水上勉氏の『湖の琴』には賤ヶ岳山麓の西山の和楽器の話がでてくるという。

湖(うみ)の琴 (角川文庫 緑 256-10)

湖(うみ)の琴 (角川文庫 緑 256-10)

・みちくさトリビア  
 http://www.kinki.maff.go.jp/introduction/seibi/jigyou/kohoku/trivia/agri07.html
・糸とり資料保存館http://www.lbm.go.jp/kenhaku/shoukai/75.html
木之本町製三味線糸http://www.ne.jp/asahi/gidayu/jyoururi/page187.html
滋賀県の養蚕(伝統工芸ミュージアム)
 http://www.nihon-kogeikai.com/SASAERU/SASAERU-108.html
・カイコの一生(「蚕糸絹業」)http://sugar.lin.go.jp/silk/info/kiso/0407ks1.htm