上品山


久集比奈(くすひな)神社の鳥居をくぐって上品山(じょうぼんさん 467m 浄峰山とも)に登る。浄土を願う修行者の最高ランク(三種)を「上品」ということから霊山としての期待が高まる。

山頂付近から万石浦(古来「奥の海」といわれたという)と太平洋を望む。素晴らしい眺めだ。

平安時代延喜式神名帳に記載された久集比奈神社に比定されている。二重の土塁の存在が特徴である(現社とはずれている)。祭神は彦火火出見命、ただし「明細帳」はイザナギイザナミ二神(『宮城県神社名鑑』宮城県神社庁 1976年)



                   (道の駅「上品の郷」より 左端がレーダーサイト)
この地にかって浄峰権現と熊野権現を祀られていたという伝承(『石巻の歴史』遺跡概説)は興味深い。現在は小社だが、尾根の反対側の突端の現レーダーサイトの位置の地名が「元上品」とする記録があること、平安時代初期に征夷大将軍坂上田村麻呂阿弥陀如来を勧請したとする伝承があることから神仏習合の広いエリアを占めていた可能性がある。伊藤清郎氏は服属・征服した在地首長層の霊を弔う意図とした(『石巻の歴史1』)。石巻をはじめ東北各地に分布する田村麻呂伝説をいつ、だれが広めたかが問題であろう。なお、鎌倉時代には中腹に蓬莱山上品寺が再興され、少なくとも室町時代ころまで存続したことが、板碑の存在などから推定されている。

(本日「はてな」不調につきしばしば記事消える!....)